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LC Liquid Chromatography 液体クロマトグラフィー 液クロ
01. クロマトグラフィーの歴史と発展
02. クロマトグラフィーの原理、理論
02-01 分配比(capasity factor)
02-02 分配係数
02-03 保持時間
02-04 装置のフロー図
02-05 極性と吸着
02-06 流速と温度
02-07 順相・逆相クロマトグラフィー
02-08 イオン交換作用
02-09 分離度と理論段数
03. クロマトグラフィーのシステム
04. クロマトグラフィーの種類とその活用
05. クロマトグラフィーの充填剤の理解
06. クロマトグラフィーと各機器の接続方法
07. クロマトグラフィーの各種検出機器
08. クロマトグラフィーによる定性・定量法
09. クロマトグラフィーによる分取技法
10. クロマトグラフィーの数的取り扱い
02-01 分配比(capasity factor)
分離の度合いは、サンプル分子の移動相への移動と固定相への移動の割合(分配比：k')で決められる。分配比が大きいということは、固定相にサンプル分子が多く移動しているということで、吸着剤であれば、そのサンプル分子に対して効率の高い吸着剤であるといえる。分配比をある程度高くして、溶離液を変化させて離脱させる方法がよく用いられる。
k' ： 分配比(容量比) = MS/MM
MM ： 移動相(mobil phase)中の溶質の総モル数(mol)
MS ： 固定相(stationary phase)中の溶質の総モル数(mol)
02-02 分配係数
分配係数は固定相に溶解している量と移動相中の量との比を意味していて、分配比(k')に相比(β, ベータ, phase ratio)を乗じたものである。
この分配係数の大小が、その系の吸着量に比例することが多い。
分配係数(KD) = CS/CM
= (MS/VS) / (MM/VM)
= k' * β
CM ： 移動相(mobil phase)単位体積あたりの溶質の量(mol/ml)
CS ： 固定相(stationary phase)単位体積あたりの溶質の量(mol/ml)
MM ： 移動相(mobil phase)中の溶質の総モル数(mol)
MS ： 固定相(stationary phase)中の溶質の総モル数(mol)
VM ： 移動相(mobil phase)の体積(ml)
VS ： 固定相(stationary phase)の体積(ml)
02-03 保持時間
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(MM/MM) / (MM/MM+MS/MM) = 1/(1+k')
L = u * t0
L = MM/(MM+MS) * u * tR
tR = (L/u) * (1+k')
1+k' = t'R/t0
u ： 移動相流速(ml/min)
L ： カラムの長さ(mm)
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図中のtRは、サンプル注入からピーク先端までの総時間である。t0は、デッドタイムと呼ばれ、充填剤に届くまでの進路進行時間である。結果的にみると、tR/t0が分配比になる。
クロマトグラフィーとしては、t0の方が小さく、t'Rが大きいと理論段数が上がり高効率カラムといえる(t'Rが長すぎると分析時間のロスになることもある)。
充填剤メーカーは、この理論段数をあげることにしのぎを削っている。たとえばODSカラムの場合、シリカゲルへのODSの合成のさせ方、球型度、そのほか多くのファクターがある。シラノール基の除去法もいくつか開発されている。また、シリカゲルを基材としない、他の基材のものも開発されている(合成樹脂、ガラスなど)。
02-04 装置のフロー図
クロマトグラフィーの基本的な構成は、分離するカラムを中心に、カラムに溶離液を流すポンプ、サンプルを注入するサンプル口、カラムから溶出される成分を分析する検出器、それを記録するレコーダー、まら、分取したい場合は、分取用フラクションコレクターをつけることになる。
精密分析には、溶離液のリニアグラジエント法が有効なので、最近は三液リニアグラジエント装置が装備されている。
検出器は、3〜4種類の違った原理に基づいて装備される。おもなものは、紫外検出器、蛍光検出器、DAD(Diode Array Detector)がある。
02-05 極性と吸着
クロマトグラフィーでは、吸着剤の極性、溶媒の極性、化合物の極性など、頻繁に「極性」という語が用いられる。有機化学における極性は、分子を構成する原子、官能基の性質によって分子内に生ずる相対的な正・負の荷電により生ずるもので、同様の極性を持つ他の分子と、引き付け、または反発しあっている。この極性の程度は、双極子モーメントや溶媒で多く使われる誘電率というパラメータによって表される。
� ．�ロマトグラフィーでいう極性化合物(例えば、イオン、糖、アミノ酸)は固定相によって保持される物質であり、吸着剤の場合には、アルミナやシリカゲルのように溶質を強く吸着するものである。すなわち、その結合の仕方には水素結合や分極現象に基づくπ電子結合なども含まれる。一方、非極性物質(例えば、脂肪族炭水化物)は、固定相に対し保持されにくく、このことは、移動相として使用される溶媒についても同様である。例えばメタノールは極性溶媒であり、吸着剤から物質をよく移動させる効果がある。これに対して、シクロヘキサンは非極性溶媒で、多くの物質を溶出しない。しかし、ベンゼンは、シクロヘキサンと同様に、Debyeの式による双極子モーメントが0であっても分極化しうる電子雲を持っているため、クロマトグラフィーでは、ベンゼンはシクロヘキサンよりも極性の大きい溶媒であるとされている。クロマトグラフィーでは吸着剤、溶媒の特性を知ることは重要である。
�◆ゝ枌絅�ロマトグラフィーの固定相は、極性の大きいアルミナやシリカゲルのような固体であり、分離すべき物質は固定相の一端に添加され移動相で展開されることにより移動する。分離は混合物中の一つの物質が他の成分より固定相に強く吸着される際に起こる。吸着は吸着剤の表面現象であるので、吸着剤の表面積の大小、均一性は固定相と移動相の間で試料が平衡となるまでの時間に影響し、そのため吸着剤の粒子径が小さく、均一であることがクロマトグラフィー用吸着剤にとって重要なことである。
�� この吸着クロマトグラフィーによる分離について簡単な理論である二相関の物質の分布係数(x)を用いて考えると次のようになる。x は次のように表わせる係数である。
分配係数(x) = (固定相の単位体積あたりの溶質の量)/(移動相単位体積あたりの溶質の量)
通常、吸着クロマトグラフィーにおいて、x は温度と溶質の濃度に依存している。
02-06 流速と温度
HPLCの流速(F)は温度の影響を受けるので、室温(25〜30℃)と低温(10℃)とではかなり差がある。
クロマトグラフィー操作において、流速はDarcyの法則に従い、次式で表わされる。
F = (K * ΔP)/(μ * L)
F ： 流速(mL/min)
ΔP ： 圧力(MPa)
μ ： 溶出液粘度
L ： カラムの長さ(mm)
K ： カラム依存定数
流速がカラムの長さに反比例することはよく知られているが、溶出液の粘度については見落とされがちである。
圧力を変えずに流速を上げるためには、�〕禄弍佞鯒甘戮猟磴い發里砲垢�(ex. メタノールをアセトニトリルに変える)、�▲�ラム径を大きくして長さLを短くする(カラム長が短くなると分離度RS, 理論段数Nに影響するので注意が必要。)、��カラムの温度を上げて圧力ΔPを下げる、などの方法が有効である。
分離度を上げる方法としては、温度グラジエント法がある。サンプル注入時から段々と温度を上げていく方法で、ある種の成分の分離には有効な分離手段である。溶離液グラジエントと組み合わせると複雑になるが、格段に分離能が改善されることがある。
02-07 順相・逆相クロマトグラフィー
「順相」「逆相」という用語はよくクロマトグラフィーで用いられる。
シリカゲルにオクタデシル基(ODS)を合成するのであるが、合成されていない部分にシラノール基(-OH)が残り、種々の要因を作るので、エンドキャッピングする必要がある。シリカゲル表面が順相系、ODSシリカ表面が逆相系となる。また、このODSにも合成の仕方により、モノメトリック型とポリメトリック型の2つの型がある。シリカゲルは塩基性(pH9〜)の溶離液中で変成することに注意。
水のように極性の大きい固定相と、水と混ざりにくい1-ブタノールなどの極性の小さい移動相の組み合わせによる系を順相分配クロマトグラフィーという。これに対して、極性の小さいパラフィンのような固定相とメタノールのような極性の大きい移動相を用いて行う方法を、逆相分配クロマトグラフィーとしていた。この逆相分配クロマトグラフィーは、1950年頃開発されて以来、従来の分析法では分離の困難であった極性化合物の分離法として多用されてきた。しかし、1970年ごろから、シリカゲルの表面に炭化水素など、これまで固定相の分配剤として多く用いられていた化合物を化学結合させた、極性の活性部位を持たない充填剤がHPLCで用いられるようになった。このため、逆相分配クロマトグラフィーという言葉は、現在、移動相の極性とは関係なく、一般に「非極性固定相を用いるクロマトグラフィー」として使用されている。
逆相分配クロマトグラフィーを分離機構的にみると、化学結合型固定相では、従来の液-固吸着でも液-液分配でも十分な説明ができないため、次のような考え方がなされている。それは試料の疎水性の差に基づいての分離、すなわち物質が水の中に溶出していく速度の差とか、展開溶媒中での各物質の溶媒和のされやすさが分離に利用されていると考えられている。
この形の逆相分配クロマトグラフィーは分析対象となりうる試料が非常に多く、現在、高速液体クロマトグラフィーでは広く用いられている。
02-08 イオン交換作用
水に不溶の合成樹脂に、スルホン酸基(-SO3H)などの酸性基がついたものは、陽イオンを交換することができる。このような合成樹脂を陽イオン交換樹脂という。
代表的なものにはスチレンとp-ジビニルベンゼンとを共重合させ、ベンゼン環の一部をスルホン化した合成樹脂がある。
また、基(-NH3OH)などの塩基性基がついた樹脂は、陰イオン交換樹脂という。
スルホン化された陽イオン交換樹脂にNa+の陽イオンを含んだ水を通すと、次のような交換が起こる。
R-SO3-H+ + Na+ → R-SO3-Na+ + H+
次に多量の塩酸で樹脂の再生を行うと、次のような交換が起こる。
R-SO3-Na+ + H+ → R-SO3-H+ + Na+
陰イオン交換樹脂にCl-の陰イオンを含んだ水を通すと、次のような交換が起こる。
R-NH3+OH- + Cl- → R-NH3+Cl- + OH-
この樹脂の再生には、水酸化ナトリウムを用いる。
R-NH3+Cl- + OH- → R-NH3+OH- + Cl-
純水の製造装置は上記のようなイオン交換を原理としている。
選択係数の大きさ
陰イオン
OH- ＜ F- ＜ Propionate ＜ Acetate ＜ Formate ＜ HPO4- ＜ IO3- ＜ HCO3- ＜ Cl- ＜ NO2- ＜ BrO3- ＜ HSO3- ＜ CN- ＜ Br- ＜ NO3- ＜ ClO3- ＜ HSO4- ＜ Phenate ＜ I- ＜ Citrate ＜ Salicylate ＜ Benzene−sulfonate
陽イオン
H+ ＜ Li+ ＜ Na+ ＜ NH4+ ＜ Mn2+ ＜ K+ ＜ Mg2+ ＜ Fe2+ ＜ Rb+ ＜ Cs+ ＜ Zn2+ ＜ Co2+ ＜ Cu2+ ＜ Cd2+ ＜ Ni2+ ＜ Ca2+ ＜ Sr2+ ＜ Cu+ ＜ Hg2+ ＜ Rb2+ ＜ Ag+ ＜ Ba2+
02-09 分離度と理論段数
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成分Aと成分Bのピークで、分離度(RS)と理論段数(N)が分かれば、クロマトグラムを描くことができる。
分離度RS = Δt/W = Δt/{(WA+WB)/2} = 2Δt/(WA+WB)
理論段数(N) = (tR/σt)2
W ： ピークの底辺の長さ(min)
Δt ： ピークAとピークBの保持時間の差(min)
tR ： 保持時間(min) サンプル注入からピークの先端までに要する時間
σt ： 拡散時間
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