☆こたろう☆

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LC　Liquid Chromatography　液体クロマトグラフィー　液クロ

01.　クロマトグラフィーの歴史と発展
02.　クロマトグラフィーの原理、理論
03.　クロマトグラフィーのシステム
　03-01　グラジエント溶出法と屈折計
　03-02　グラジエント溶出法の特徴
　03-03　高圧・低圧グラジエント溶出法
　03-04　脱気装置
　03-05　超音波式脱気装置
04.　クロマトグラフィーの種類とその活用
05.　クロマトグラフィーの充填剤の理解
06.　クロマトグラフィーと各機器の接続方法
07.　クロマトグラフィーの各種検出機器
08.　クロマトグラフィーによる定性・定量法
09.　クロマトグラフィーによる分取技法
10.　クロマトグラフィーの数的取り扱い

03-01　グラジエント溶出法と屈折計
　グラジエント溶出法では、検出器として屈折計は非常に扱いにくい。HPLCによく用いられる溶媒の屈折率を、下表に示す。屈折率はほとんどの成分にあるから、溶媒との差がその値になる。ベースラインが順次変化する手法は、屈折率では測定しがたい。

　NaClによる塩濃度変化や水・有機溶媒のグラジエントにおいては、溶離液の屈折率が変化し、ピークとして現れて測定成分のピークと重なってしまう場合がある。屈折計で検出する場合、溶離液は屈折率一定のものを用いるのがよい。

名称	構造	屈折率(n₀²⁰)
n-Hexane	C₆H₁₄	1.3745
Chloroform	CHCl₃	1.4486
Mathanol	CH₂OH	1.3286
Ethanol	C₂H₅OH	1.3623
1-Propanol	C₃H₇OH	1.3854
2-Propanol(Isopropyl alcohol)	(CH₂)₂CHOH	1.3754(25)
Formic acid	HCO₂H	1.3713
Acetic acid	CH₃CO₂H	1.3715
Ethyl acetate	CH₃CO₂C₂H₅	1.3726
Acetonitrile	CH₃CN	1.3442

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03-02　グラジエント溶出法の特徴
　グラジエント溶出法とは、溶離液の組成を変化させて溶出する方法である。その方法とは、塩濃度、pH、有機溶媒比などを順次変化させていく方法である。カラム温度を順次上げていく溶出法もあるが、通常は溶離液組成を時間とともに上げてゆく手法が主流である。グラジエント溶出法には、ステップグラジエント法と、リニアグラジエント法がある。

　塩濃度グラジエントとは、例えばNaClの濃度を分析開始当初0.01Mで安定させておいて、分析開始時より時間とともにNaCl濃度をあげて1時間後に10倍の0.1Mまで上げる。

　pHグラジエントでよく用いられるのが酸性域pH3.0～4.0より段階的にpH7付近まで上げる手法である。

　有機溶媒グラジエントは、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどの有機溶媒の比率を上げてゆく手法をとる。特に近年汎用化されている逆相系分離(ODSを用いる)に適している。

　グラジエント溶出法の利点には次が挙げられる。

　①　多大な溶出時間を要する分離が短時間で可能になる。
　②　類似の構造の分子を分離することが可能になる。分離度が数段上がる。
　③　1本のカラムでカラム性能が十分に生かせるため、カラムの有効度を上げることができる。
　④　分離した後、グラジエント法によってカラム洗浄が可能になる。カラムを活性化しながら分離が進められる。
　⑤　3液グラジエントによる高分離クロマトグラフィーも行える。

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03-03　高圧・低圧グラジエント溶出法
　溶媒グラジエントの装置的な技法(送液法の違い)に高圧グラジエント法と低圧グラジエント法とがある。通常の分析においては、精度の差はない。

　通常の溶離液の混合は、違った性質の溶媒をよく混ぜ、均一状態にすることである。緩衝液等(リン酸バッファーが多い)は、溶液中に粉体を溶かし込む。室温で溶解しにくい場合は、少し温度を上昇させるか、超音波を用いて完全に溶解するようにする。HPLCに用いる際に溶離液は脱気操作を行うが、この処理で溶離液がよく混合される。

　【装置の違い】
　高圧グラジエント法では、送液ポンプの吐出側、つまり圧力が加わった箇所で溶媒を混合する。高圧グラジエント法の利点はつぎのとおり。

　①　高圧下で混合されるため、混合により気泡が発生しやすい組み合わせの溶媒でも気泡が発生しにくい。
　②　分析カラムに近い位置で混合されるため、カラム内の溶離液組成の変化に対する時間の遅れが少なくてすむ。

　欠点として、混合する溶媒の数だけ送液ポンプが必要になることがあり、装置のコストが高くなることがある。

　一方、低圧グラジエント法では送液ポンプの吸引側、つまり圧力が加わっていない箇所で溶媒を混合する。吸引グラジエントとも呼ばれる。低圧グラジエントの利点は、1台の送液ポンプと電磁弁で構成されるため、シンプルなシステムが構成できることである。

　欠点として、大気圧下で混合されるため気泡が発生しやすい。この現象は、混合により熱(混合熱)が発生する溶媒の組み合わせで顕著になる。つまり、混合により熱を持った溶媒がプランジャー部で減圧圧縮されるので、気泡が発生する可能性もかなり大きくなる。この欠点を補うために、低圧グラジエントの装置には必ず何らかの脱気装置をつける必要がある。

　【カラム内の溶離液変化への遅れ】
　溶媒を混合する箇所と実際に分離されるカラムとの間の体積が低圧と高圧グラジエントでは大きく異なる。つまり、低圧グラジエントでは送液ポンプの吸引チューブ、ポンプのプランジャー部、吐出配管部、試料注入部を経て分析カラムにたどり着く。高圧グラジエントでは吐出配管部、試料注入部だけで分析カラムにたどり着く。このため、実際にグラジエントを開始したとしても、この体積分は初期の溶媒が流れることになる。この部分はアイソクラティック溶出されているので、この部分が多いほど、すなわち低圧グラジエントの方がグラジエント効果が遅くなり、溶出が遅れる。もちろん溶出だけでなくカラムの平衡化にも時間がかかる。

　【混合する溶媒の圧縮率の差】
　溶媒は圧縮率という固有の値を持つ。溶媒は高圧下における圧縮率とその圧力に比例して容積が小さくなる。したがって、常圧下で混合した溶媒では厳密には異なった組成の溶媒になる。この圧縮率の問題は、高圧グラジエントの溶媒調製に関しても問題となる。例えば、アセトニトリル0%から50%のグラジエントを行う場合、A液に水、B液にアセトニトリルを用意してA液→A液/B液(50/50)のグラジエントを行うのと、A液に水、B液に50%アセトニトリルを用意してA液→B液のグラジエントを行うのでは微妙に異なってくる。

　【グラジエントの再現性】
　高圧グラジエントでは各ポンプの送液分解能に依存し、低圧グラジエントでは電磁弁の溶媒選択の分解能に依存する。重要なのは、低圧グラジエントを行ったときのプランジャーでの溶媒の混合である。つまり、プランジャーで吸引した容量分の溶媒は混ざり合うので、低圧グラジエントは細かく段階的に濃度が変化していると考えられる。プランジャーの吸引のタイミングは測定ごとに変わるので、結果として再現性に注意を払う必要がある。

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03-04　脱気装置
　脱気装置は、吸引ポンプと真空容器から成り立っている。留意点としては、内部の防菌、ごみ等の混入防止である。脱気性能は溶存酸素で表わされるので、装置上にメーターを装備してあるものがよい。流量が増すにつれて溶存酸素が増えてくるので、分析時のチェックが必要であろう。

　精密分析では、流量は1分間に0.5mL程度でよいので脱気能力は低くてよいが、分取液体クロマトグラフィーになると1分間に数十mLになるので、脱気能力が高くなければならない。新しい優れた装置として真空装置を組み合わせたものが開発されている。合成樹脂膜でできたチューブの中を通る間に、真空容器中へ気体が移動する仕組みである。1台の装置で2系統か3系統の接続が可能となっている。

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03-05　超音波式脱気装置
　HPLC用脱気装置として、超音波発振と吸引ポンプと回転羽根を組み合わせたものが開発されている。超音波発振器を使用する装置は、液体クロマトグラフィーに使用されるどのような微量配率の成分溶媒からでも、極めて混合度の高い状態でかつ効率よく、迅速な撹拌混合を行うことができる。このような装置を使用することにより、非常に正確な分析作業を行うことが可能となる。脱気度の効率は、HPLCの流速に応じた溶存酸素濃度(ppm)によって表示される。

　超音波と回転羽根は、溶存酸素を回転させて振動させ、溶離液中から微量含有酸素をはみ出させる。吸引ポンプははみ出した酸素を吸引して真空に近い状態にしてゆき、脱気させる。

　超音波と回転力と吸引力による装置は、撹拌混合作業と同時に脱気作業をも行うことができるので、混合度が非常に高い溶離液を提供することができる。したがって、精度の高い分析が可能となる。さらに、溶媒成分が撹拌混合されている状態にある間に、超音波発振器が脱気作業を行うので脱気度が格段に増大し、いっそう精度の高い分析作業を行うことができる。また、99.5%と0.5%の微量混合にも適した原理となっている。

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