DNAマイクロアレイ  2.プラットフォームを選ぶ


アレイの作りもさまざまです。プローブを配置する基盤にはスライドガラスやナイロン膜などが用いられ、プローブはcDNAかオリゴヌクレオチドが用いられます。

TABLE 1-1.
主なアレイ製品



2色法アレイ 1色法アレイ
主な対応アレイ 自作アレイ
 =各研究室=

AceGene Premium
 =DNAチップ研究所=

IntelliGene
 =タカラバイオ=
DNA Microarrays
 =Agilent Technologies=
DNA Microarray
 =Applied Biosystems=

なんでもアレイ
 =Nimblegen=

CodeLink Bioarray
(生産中止)
 =GE Healthcare=

BeadArray
 =Illumina=

GeneChip Array
 =Affymetrix=


FIG 1-1.  ハイブリしてる画

TABLE 1-2.
アレイ製品の各社比較



特徴
AceGene Premium
=DNAチップ研究所=
対応生物種: ヒト、マウス
プローブ長: 50 mer
プローブ搭載方法: 日本ガイシのGENESHOTによるインクジェット方式のSpotting
基盤: 住友ベークライトのS-BIO基盤(プラスチック)。
色素: Cyanine3, Cyanine5
サンプル標識: anino allyl-UTP
ハイブリダイズ サンプル: antisense RNA
解析対象: mRNA

IntelliGene
=タカラバイオ=
対応生物種: ヒト、マウス、ラット、大腸菌、光合成グラム陰性細菌
プローブ長: 300 merのオリゴDNAもしくはcDNA
プローブ搭載方法: ピンスポット方式のSpotting。(Affymetrix 417Arrayer??)
基盤: TaKaRa-Hubble Slide Glass(スライドガラス)。表面が活性エステル化されていて、アミノ化修飾されたDNA断片を共有結合により強固に固定化できる。
色素: Cyanine3, Cyanine5
サンプル標識: Cy3-UTPもしくはCy5-UTP
ハイブリダイズ サンプル: ??
解析対象: mRNA

DNA Microarrays
=Agilent Technologies=
対応生物種: 酵母、イヌ、ゼブラフィッシュ、アフリカツメガエル、イネ、いもち病菌、シロイヌナズナ、マウス、ヒト、ラット
プローブ長: 60 mer
プローブ搭載方法: Hewlett-Packard社の技術によるインクジェット方式のSpotting。最新の44Kフォーマットでは、Spotが入れ子状に配置されている。
基盤: スライドガラス。
色素: Cyanine3, Cyanine5
サンプル標識: Cy3-UTPもしくはCy5-UTP
ハイブリダイズ サンプル: ??
解析対象: mRNA、gDNA

DNA Microarray
=Applied Biosystems=
対応生物種: ヒト、マウス、ラット
プローブ長: 60 mer
プローブ搭載方法: ??
基盤: 多孔質のナイロン。プローブの3'末端が共有結合する。
色素: Chemiluminescent Substrate
サンプル標識: Digoxigenin
ハイブリダイズ サンプル: ??
解析対象: mRNA

なんでもアレイ
=Nimblegen=
対応生物種: ヒト、マウス、ラット、イネなど300種以上。
プローブ長: 24(微生物) or 60 mer
プローブ搭載方法: フォトリソグラフィ。Affymetrix社は目的の場所にのみUVを照射するために"マスク"を使うが、Nimblegen社は鏡(Digital Micromirrors) によって、反射する部分にのみUVを照射することができる。この手法の違いにより、Nimblegen社のアレイはUVの照射範囲が必要以上に広くなり、プローブ合成の精度がAffymetrix社のものよりも劣るという説もある。アレイの作製方法がAffymetrix社の技術に酷似しているため、アイスランドでのみ製造・解析をしている。アレイのみを購入して実験を行うことは不可で、受託解析を依頼する。mRNAを国内の代理店(ジーンフロンティア)に送付するとアイスランドに転送されて解析され、結果を得ることができる。
基盤: 形状はスライドガラス様。
色素: ??
サンプル標識: ビオチン
ハイブリダイズ サンプル: ??
解析対象: mRNA、gDNA

CodeLink Bioarray
=GE Healthcare=
(生産中止)
対応生物種: ヒト、マウス、ラット
プローブ長: 30 mer
プローブ搭載方法: 日本ガイシ。プローブの形状はドーナツ形。
基盤: ポリアクリルアミド層による三次元構造。プローブの5'末端はアミノヘキシルリンカーを介して、スライド上のNHSエステル基に共有結合している。
色素: Cyanine5。Cyanine5はCyanine3に比べてオゾンによる退色をしやすいが、蛍光強度が強いのでCyanine5を採用しているものと思われる。
サンプル標識: biotinylated UTP。自社のKitがあるが、ラベル化まではAffymetrix社のKitでもよいそうだ。
ハイブリダイズ サンプル: antisense RNA。
解析対象: mRNA

BeadArray
=Illumina=
対応生物種: ヒト、マウス
プローブ長: 50 mer
プローブ搭載方法: ??
基盤: 光ファイバーの先端に置かれたビーズ。
色素: Cyanine5
サンプル標識: biotinylated NTP。Ambion社のKit。
ハイブリダイズ サンプル: antisense cRNA。
解析対象: mRNA

GeneChip Arrays
=Affymetrix=
対応生物種: ヒト、マウス、ラット、など300種以上。原核生物についてはNimblegen社のもつゲノムデータを元にAffymetrix社がプローブ設計を行った。
プローブ長: 25 mer
プローブ搭載方法: フォトリソグラフィー。
基盤: 石英ガラス。
色素: フィコエリスリン。
サンプル標識: biotinylated NTP。以前はInvitrogen社のKitだったが、現在は自社ブランド。
ハイブリダイズ サンプル: antisense cRNA。ビオチン標識cRNAをアレイにハイブリさせた後、蛍光色素標識する。まず、フィコエリスリン結合アビジンを結合させ、次にビオチン結合抗-アビジン抗体を結合させる。そこへさらにフィコエリスリン結合アビジンを結合させることで蛍光強度を増している。
ハイブリダイズ サンプル: antisense cRNA。ビオチン標識cRNAをアレイにハイブリさせた後、蛍光色素標識する。まず、フィコエリスリン結合アビジンを結合させ、次にビオチン結合抗-アビジン抗体を結合させる。そこへさらにフィコエリスリン結合アビジンを結合させることで蛍光強度を増している。
解析対象: mRNA、gDNA
雑学: GeneChip(R)は形容詞的に使用されるべき、Affymetrix社の商標。"GeneChipを用いた解析"というのは正確ではなく、"GeneChipアレイを用いた解析"とすべき。




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